術前化学療法を行うBorderline resectable膵癌に対する術前胆管ドレナージ術
以前に、膵臓癌の術前胆管ドレナージについて、SEMSとPSを比較した論文を紹介しました(切除可能膵臓癌の術前胆管ドレナージはプラスチック?メタリック?)。しかし現在は、その論文が発表された時よりも術前化学療法が多く行われるようになってきました。
そこで今回は、術前化学療法を行うBorderline resectableを対象として、術前胆管ドレナージにおけるSEMSとPSを比較した論文を紹介します。
結果
再発性胆道閉塞の発生率はCSEMS群で有意に低く(0% vs 47.4%、p < 0.001)、PS群における再発性胆道閉塞までの期間の中央値は47日であった。
非閉塞性胆管炎、膵炎、胆嚢炎などのその他の合併症の発生率は両群間に差はなかった。
ステント関連合併症による化学療法スケジュールの遅延はPS群で有意に多かった(52.6% vs 4.8%、p = 0.001)。
両群間で術後合併症の発生率に有意差はなかった。
以前にご紹介した論文(切除可能膵臓癌の術前胆管ドレナージはプラスチック?メタリック?)とは逆の結果になりましたね。
以前に紹介したその論文は、周術期の出血が多いことがSEMSの弱点であると結論していました。ただしその論文は症例数が40程度のRCTであり、アウトカムを出血率にしてサンプルサイズを計算したものではないはずです(出血は頻度が多くはない合併症なので、もっと多くのサンプルサイズが必要なはず)。そのため、その論文では出血に関する確定的なことは言えないと思います。
そのため、resectable膵癌の術前化学療法ならば2ヶ月程度の短期間ですので、プラスチックステントでもいいかもですね。
しかしborderline resectableの術前化学療法や、unresectableに対する化学療法からのコンバージョン手術などを見据える場合は、メタリックステントの方がいいような気がします。
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