肝門部胆管癌のドレナージでアンカバー型メタリックステント留置法は、stent in stent?stent by stent??

2022年4月16日

どう置く?

みなさんはどう置かれていますか?

stent in stent (SIS)? stent by stent (SBS)?

両葉?とか、メタリック?とかよりは悩まないかもしれないですね。

論文を2つ引用して考えてみます。

1つは、SISとSBSの成績を比べた前向き試験
もう1つは、その後のリインターベンションのやりやすさを検討した後ろ向き試験

ところで日本ではSBSはside by sideですが、GIEではstent by stentになっていました。SIS(stent in stent)と対比しやすいので、本記事ではstent by stentを採用しています。

まずはSISとSBS自体の成績を比較した前向き試験。

手術不能症例の悪性肝門部狭窄患者を、2016年から2018年まで前向き無作為化多施設試験に登録した。主要評価項目は有害事象の発生率。副次的評価項目は技術的成功および臨床的成功,再介入,治療成績,ステント開存率,生存期間。
ステントはBonastent M-Hilarのみを使用したそうですが、口径何mmを使用したかの記載は見つけられませんでした(普通はMethod sectionに記載するので、私が見落としただけ?)。


<結果>

病理診断された74例中69例がSIS群(n=34)またはSBS群(n=35)に無作為に割り付けられた。
ステント留置後の総有害事象発生率は2群間で差がなかった(SIS群23.5% vs SBS群28.6%、P = 0.633)。
技術的成功率はSIS群で100%(34/34)、SBS群で91.4%(32/35)であった(P = 0.081)。臨床的成功率はそれぞれ94.1%(32/34)および90.6%(29/32)であった(P = 0.668)。
3ヵ月後のステント開存率はSIS群で85.3%、SBS群で65.7%であった(P = 0.059)。6ヵ月後のステント開存率は、それぞれ47.1%と31.4%であった(P = 0.184)。reccurent biliary obstruction (RBO)によるリインターベンションはSIS群で44.1%(15/34)、SBS群で34.3%(12/35)に発生した(P = 0.403)。ステント開存期間の中央値はSIS群で253日(範囲:28-420)、SBS群で262日(範囲:9-455)であった。
累積ステント開存率および生存確率の中央値は2群間で差はなかった。


<結論>

SISとSBSの両葉ドレナージの有効性は、有害事象、技術的・臨床的成功、ステント開存率、生存率の点で類似している。
3ヵ月後および6ヵ月後のステント開存率はSIS群で高かったが、統計的な差はなかった。

どちらがいいと感じられたでしょうか。
留置に失敗したら時間的にも資源的にもロスが大きいので、留置後の成績だけでなく留置自体の難易度も重要ですね。SISより端合わせの難易度が高いです。下端を正確に合わせないと拡張不全を起こすことがあるので。そしてこのような論文を出してくる施設は、高レベルなテクニックを持っている可能性が高いです。SISは、SBSよりも下端を合わせる苦労が少ないので、この点も加味したいです。


では続いてSISやSBS後のリインターベンションについての後ろ向き研究。

<方法>

当院および関連施設で、悪性肝門部狭窄に対して内視鏡的両側メタリックステント留置術を施行した患者115例を連続登録し,2005年12月から2012年12月にSIS部分留置を施行した75例と,2013年1月から2019年3月にSBSを施行した30例を比較検討した。各群の初期治療と再介入をレトロスペクティブに評価した。

<結果>

技術的成功率(92% vs 100%,P=0.179),処置時間(46 vs 35分,P=0.382),臨床的成功率(97.1% vs 100%,P=1.00), 合併症率(24.6 vs 20.0,P=0.797 ), reccurent biliary obstruction (RBO)までの期間(中央値 260 vs 312日,P=0.815 )及びRBO率( 59.4 vs 70.0,P=0.371 )にはSISとSBS群で有意差がなかった。
しかし、プラスチックステントによるリインターベンション成功率は、SIS群では63.4%、SBS群では100%だった(P = 0.0013)。プラスチックステントによるリインターベンションからRBOまでの期間の中央値は75日であった(範囲:11〜195日)。

<結論>

リインターベンションは、SBS群でSIS群に比べ有意に成功した。SBS法は再ステント留置を考慮する悪性肝門部狭窄に適している。

どうでしょうか。症例数は1つ目の試験と同じくらいですが、こちらは後ろ向きなのと、試験期間が長く、その前半がSISで後半がSBSとなっています。年代的なバイアスを含め、バイアスは小さくはなさそうです。
しかし結果は1つ目の試験とほぼ同様で、SISでもSBSでも成功率、有害事象、開存期間などは同等でした。どちらの試験もステント開存期間は同等で、だいたい3ヶ月で8割、半年で4割といったところでしょうか。2つ目の試験では、RBOの際に必要なリインターベンションの容易さでSBSが勝るとしていますね。


私はリインターベンションを考えたくないので、肝門部のアンカバー型メタリックステントは、化学療法をしない予後3-4ヶ月の症例に留置を検討することが多いです。リインターベンションを考えないので端合わせが容易なSISを選ぶことが多いですね。

プラスチックステントでは頻回にRBOになる症例やプラスチックステントでは突破できない症例などで、まだ予後が長そうなのにメタリックを置くことになる場合にはSBSの方がいいかもしれないですね。

Bismuth Ⅱなどでカバー型メタリックを初回から置く場合があり、そこでは当然SBSをやります。


2022年4月16日

Posted by ガイドワイヤー部長