Hemosuccus pancreaticus 〜膵管出血〜

2021年6月12日

上部消化管出血をみたら、鑑別に挙げますよね。

まず症例を提示します。
60代女性の方で、黒色嘔吐にて受診されました。
上下部内視鏡では出血源を認めなかったのですが、造影CTにて主膵管型IPMNを疑う所見がありました。
そこでERCPを行うことにしたのですが、その際に乳頭部からの出血を認めました。

ERCP(膵管鏡/胆道鏡)を行った時の画像がこちら。
胆管は問題なかったのですが、膵管内の乳頭状腫瘍とコアグラを認めました。

IPMCとして手術になったのですが、その際の組織像がこちら。
腫瘍と、膵管内と間質に多量の赤血球を認めます。

Hemosuccus Pancreaticusのまとめですが、
責任病変は、腫瘍よりはPPCや動脈瘤の方が圧倒的に多いようですね。
そのためなのか、背景に慢性膵炎がある症例が多いようです。

膵炎後のPPCで嚢胞内出血をしている人はたまに見ますが、上部消化管出血の際にも膵管からの出血を気にします。

2021年6月12日

Posted by ガイドワイヤー部長