膵NEN① 〜分類と検査〜
たまにしか出会わないから、出会う度に覚えなおすの大変です。なので全体像だけでも覚えやすいようにまとめ、苦手意識をなくすことを目的にします。
ところで、NENより昔のNETの方が発音し易くないでしょうか笑
まずは分類からです。(「分類」って眠くなるワードですよね笑)
しょっちゅう目にするWHOの分類表です。
NENを低分化と高分化に分けてNECとNETに、高分化をさらにKi-67と核分裂数がそれぞれ>20かどうかでG3かそれ以下で分類しています。
しかしHE染色だけではG3とNECの区別は難しいため、免疫染色で区別の参考にします。
・ほぼG3の変化であるのは、SSTR2A発現、ATRA変異、DAXX変異
・ほぼNECの変化なのは、Rb1消失、p53変異
HEに加えてこれらを参考に診断していきます(Konukiewitz B, et al. Mod Pathol 2017)。
増殖能で分類するだけでなく、神経内分泌腫瘍ですのでその内分泌の種類による分類もあります。
またNENのできる場所ですが、日本人の消化器NETは、直腸が5割、膵臓2割、胃1割、食道と小腸と虫垂でそれぞれ少数。ただし全身では肺がもっとも多いようです(Masui T, et al. BMC cancer 2020)。
また膵NENでは、数%ではありますがMEN1型やVon Hippel Lindau病が合併していないかをチェックする必要があります。
分類の次は検査です。
まずは画像的特徴ですが、2cm以下や円形ではG1が多いようですね。それ以上や分葉状だとG3が多くなります。ただし、これ2019年以前の報告なので、NECも含まれていると思います。
PETは、高分化では4割、低分化ではほぼ全例で集積。
SRS(ソマトスタチン レセプター シンチ)ではそれが逆転するイメージ。元の内分泌細胞に近い高分化なほどソマトスタチンが、悪性度が高いほどPETが陽性になるというのは覚えやすいです。
そして血液検査では、ガストリンやインスリンなどのホルモン、NSE、ProGRP、chromograninAなどを測定します。
画像で腫瘍が見えないが、症状や血液検査からは腫瘍が存在しているようなら、膵の動脈(脾動脈、GDA、SMAなどの分枝)にIVR的にCaを動注し、インスリンやガストリンが2倍以上になる領域で局在を判断するSASI testがあります。
次は組織ですね。EUS-FNAです。
正診率は9割前後で報告されています。私が患者さんにICするときは、再検査の可能性についても話しておくようにしています。
そして1つの注意点は、Ki-67の腫瘍内の不均一性です(Hasegawa T, et al. Endoscopy 2014)。
1/4はope後にグレードが変わるようです。
分類によって、陽性になりやすい画像、免疫染色、さらには次の記事の治療法も変わるので重要ですね。
次の記事で、NENの内科治療と外科治療についてまとめます。
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