発熱状態の胆管炎における抗菌薬終了の判断
抗菌薬を終了する判断を、どのようにしていますか。
確定的な基準はありませんが、"fever based medicine"と言われたりする発熱状態を基準としたやり方は、実臨床における医療として一般的なようです。
しかし発熱は、感染だけでなく、それに対する免疫応答や抗菌薬に代表される非感染性発熱もあります。つまり、抗菌薬終了の判断材料として発熱に重きをおくと、抗菌薬投与期間が長くなる可能性があります。1日投与期間が延びるごとに、数%ずつ耐性菌や抗菌薬の有害事象が増加するとした報告もあります。
胆管炎の発熱状態で抗菌薬を終了していいかについては、参考になる論文があります。それは、「感染コントロールがされた腹腔内感染症においては、臨床症状によらず抗菌薬投与期間は短期でよい」としたRCTがあります{Sawyer, R. G. et al. Trial of short-course antimicrobial therapy for intraabdominal infection. N. Engl. J. Med. 372, 1996–2005 (2015)}.
今回紹介した論文は、まだ発熱状態での抗菌薬継続の是非について研究されていない急性胆管炎においての後方視的研究です。「発熱状態で抗菌薬終了の判断をした群は、解熱してから抗菌薬を終了した群と比較してアウトカムは同様に良好であった」ことを報告しています。
この論文がより検証的な研究へ繋がり、将来の耐性菌や抗菌薬有害事象を低減することに繋がればいいなと思います。胆管炎は最近感染症の2−4位の頻度と報告されている疾患です。そのため胆管炎の抗菌薬適正使用について研究することは、耐性菌や有害事象への大きな影響が想定されます。今後のこの分野における研究の発展を願っています。
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