膵多血性腫瘍 〜膵内副脾の鑑別として考察〜

2021年7月10日

膵腫瘍の鑑別はみなさんはどうされていますでしょうか。
今回は、膵内副脾を題材に、膵多血性腫瘍の鑑別をテーマにします。
最後に、膵多血性腫瘍とその嚢胞化率の一覧表を載せています。

さっそくですが、膵尾部に指摘された多血性腫瘍の画像を提示します。

左上は単純CTですが、右上と左下の造影はほぼ脾臓や膵外の副脾と同程度であり、膵内副脾が疑われます。
造影MRIも撮影したのですが、やはり脾臓と同様の造影動態でした。
そうは言っても、鑑別としての上位にNETなどの腫瘍が来るため、患者さんと相談の上でEUS-FNAを施行しています。

境界は明瞭で平滑、内部エコーは均一な分葉状の2.5cm程度の腫瘤

結局は副脾の診断で経過観察にしたのですが、経過観察中に変化がありました。

1年後のCTにて多血性腫瘤の一部に嚢胞成分が出現
2年後にはさらに嚢胞成分は増大。多血性腫瘍の一部は圧排様に菲薄化
膵内副脾 epidermoid cyst

経時的変化を並べてみます。

膵多血性腫瘍

2年かけてこのような変化がありました。
NET、腺房細胞癌、SPNなどの腫瘍が嚢胞変性した病変も鑑別に挙がり、外科や患者さんと相談の上で手術になりました。

参考として病理画像を載せます。
結論は、膵内副脾に合併したepidermoid cystでした。

充実部分は副脾、嚢胞の内側は重曹扁平上皮でした。
そのため膵内副脾から発生したepidermoid cystと診断しています。
その報告をまとめてみました。

医中誌で検索すると77例の該当がありました。
私が興味を惹かれたのは、CA19-9の上昇を30例に認めたことと、手術症例の術前診断でした。
術前診断は、膵NET(現在はNEN)、MCN、IPMN、SPN、癌の壊死などの悪性を懸念された症例が53例でした。
6ヶ月以上の経過観察をした報告は2例のみで、充実腫瘤から嚢胞変性を観察した報告はありませんでした。

最後に、膵多血性腫瘤と、それが嚢胞編成する頻度のまとめ表を載せます。

膵多血性腫瘍

予後的には、腺房細胞癌が10%で嚢胞変性することに注意でしょうか。
次点で、NEN、SPN、腎細胞癌でしょうか。


膵腫瘍、がんばって診療していきたいと思います。
膵NENについては別記事でまとめています


余談ですが、皆さんがもしかしたら疑問に思われるかもしれない想定質問集も作ってみました。