急性胆管炎の起因菌がセフメタゾール耐性であるリスク
急性胆管炎に対する抗菌薬はどのように選択されていますか?そして何を使うことが多いでしょうか?私はセフメタゾールが最も多いです。
胆管炎の国際ガイドラインであるTokyo Guideline 2018では、重症度により抗菌薬を変更するように推奨しています。しかし、抗菌薬は強いか弱いかではなく、広いか狭いかです。つまり重症であろうが当たりさえすれば有効性はどの抗菌薬でも同等と考えます。耐性菌の存在があるため、ガイドラインとしては、重症例に広域抗菌薬を推奨するしかないです。耐性菌というものがこの世にいないなら、重症だろうが狭域抗菌薬を使えば有効なのです。
今回紹介する論文では、その耐性菌が培養から検出されるリスク因子を検討し、重症度だけでなくその患者背景に従って抗菌薬を選択することを提案しています。
<結果>
糖尿病、肝胆膵がん、悪性胆道閉塞、EST既往がCMZ耐性菌血症のリスクと関連する有意な因子として同定された。
悪性胆道閉塞の患者の死亡率は、胆管結石の患者の死亡率よりも統計学的に高かった。CMZ耐性菌血症で初回抗生物質が不適切であった群では、患者の死亡はなかった。
以下は私が抗菌薬を選択する際のイメージですが、一番迷うのは"耐性菌リスクなしの重症"です。
広域抗菌薬への耐性菌を作ってしまうことは、将来の感染症の治療失敗リスクを上げますので、狭域抗菌薬を選択したいです。しかし外せば亡くなってしまうような最重症はガイドライン通りに広域抗菌薬(PIPC/TAZ, MEPMなど)を使います。重症でも、血小板低下や意識障害(軽度のUTIなどでもすぐに意識障害をきたすような高齢者の場合)など単一の重症項目に該当するくらいであれば、狭域抗菌薬を選択することはあります。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません