再発性肝細胞癌に対する陽子線治療vsRFA

今月の論文紹介

肝細胞癌に対する放射線治療のエビデンスは少ないのですが、2021年にphaseⅢのRCTが出ていましたので紹介します。
(おさらいですが、至適容量を決めるのがphaseⅡ、介入群と対照群の実際の比較がphaseⅢでしたね)

この試験は、他治療後の再発性肝細胞癌を対象としていることにまず注意してください。初回治療を受ける症例を対象にしたものではありません。そして3cm未満2個以下かつChild-pughスコア7点以下を条件にしています(本文Methodをざっと見ましたが、その2個の場所については規定はないようでした)。

2年無再発生存期間、3年無再発生存期間、4年無再発生存期間のそれぞれで、陽子線治療(PBT)はRFAに対して非劣性であったようです。
最も多かった有害事象は、PBTでは放射線肺炎(32.5%)と白血球数の減少(23.8%)、RFAではアラニンアミノトランスフェラーゼ値の上昇(96.4%)と腹痛(30.4%)でした。グレード4の有害事象や死亡率は認められませんでした。

そのため著者らは、陽子線放射線治療は、再発の小型肝細胞癌に対する有望な治療選択肢であると結論しています。

RFAは、腫瘍が胆管や血管に近接している場合に治療効果が不十分となる可能性があります。出血傾向がある患者さんには施行自体が困難なこともあります。逆に放射線治療は、Child-pughスコアが8点以上でRILD(放射線関連肝障害)が増加するとされています。
患者さんの状態に合わせた選択肢が増えることは喜ばしいですね。私たちは覚えるのが大変ですが笑

今月の論文紹介

Posted by ガイドワイヤー部長