胆石性膵炎の論文 Lancet2020

2021年6月30日今月の論文紹介膵炎

皆さんはこの論文読まれましたでしょうか。
オランダで行われたRCTです。
ざっくりと言えば、「胆石性膵炎に対して緊急ERCPは予後を改善しなかった」というものです。一見すると、ERに来た患者の対応が変わりそうな結論ですが、Methodに疑問を感じたので採り上げることにしました。
私は本文を取り寄せましたが、abstractは普通にネットで見れますのでそれだけ載せておきます。

 

 

最も気になることは、胆管炎を除外した胆石性膵炎を対象にしていることです。
胆石性膵炎において、実臨床でどれだけ正確に胆管炎を除外できるでしょうか。

②さらにもう一点、これは本文のMethodでないと記載がないのですが、膵炎が「胆石性」である根拠の1つに、胆管拡張を入れていることです。膵炎でなくとも、高齢者や胆適後の人は本論文の胆管拡張を満たす人たちはいます。そのような人たちが膵炎を起こしたら胆石性膵炎としてしまうのはちょっと雑だと感じます。

③また個人的に気になることは、この論文で実際に胆石を認めた症例は76%ですが、胆石の場所の記載がないことです。さすがに乳頭部嵌頓を疑う画像所見があれば、緊急ERCPを検討したいのですが、本論文では胆石の場所に記載がありません。

 

このような理由で、この論文は実臨床での対応を変化させるほどではないかなと感じています。
私としては、CTや採血で乳頭部に嵌頓していることが疑われれば緊急で、そうでなければ胆管炎の重症度に応じてERCPのタイミングを決めようと思っています。
皆さんの考えも聞かせてもらえたらうれしいです。