切除可能膵臓癌の術前胆管ドレナージはプラスチック?メタリック?

2022年12月29日今月の論文紹介

皆さんの施設では、手術待機中の膵臓癌に対する減黄はどのようにしていますか?
遠位胆管癌の報告ですが、ビリルビン7.5mg/dl以上のまま手術すると偶発症が増えるとする報告があります。ビリルビンが一桁前半で、早期に手術ができるのであればドレナージは不要かもしれないですね。
ドレナージするならプラスチック(PS)でしょうか?メタリック(SEMS)でしょうか。今回はそんな疑問の解答の1つになる2022年のRCTを紹介します。

結果と結論ですが、

FCSEMS群では再介入を必要とした患者はいなかったが、PS群では5人が再介入を受けた(P = 0.023)。手術待機期間はSEMS群とPS群で差はありませんでした。FCSEMS群ではPS群に比べ、術中出血(P = 0.0068)およびAE(P = 0.011)が有意に多くみられた。術後在院日数はFCSEMS群で有意に長かった(P = 0.016)。
結論 完全被覆型自己拡張型メタルステントはPS群に比べ、手術待機期間中の内視鏡的再介入率は低いが、術中出血が多く、高率にAEが発生した。】というものでした。

PS群は再ERCPの必要頻度は上がるが、手術待機期間は大きく変わらずに手術を迎えられています。SEMS群では手術関連の偶発症が増え、入院期間も延長します。今回の結論からは、膵癌の術前ドレナージが必要な症例では、PSを留置したくなりますね。
しかし近年は、術前化学療法の有効性が報告されており、GS療法を中心に施行されています。そのため手術待機期間は長くなる傾向があり、この研究が行われた時とは状況が異なることに注意が必要です。

2022年12月29日今月の論文紹介

Posted by ガイドワイヤー部長