ERCP後膵炎に対するエンドカットとオートカットの比較研究(RCT)

2024年1月1日今月の論文紹介

皆さんは、エンドカットとピュアカットは使い分けていますか?
日本のESTガイドラインによると、”予期しない急激な切開(Zipper cut)は endocut mode では少ないものの,穿孔や膵炎,臨床的な 出血は両モードともに有意な差は認めない。しかしながら,日常臨床において,軽症の出血が少ないこと,予期しない急激な切開(Zipper cut)の発症が少ないことからendocut modeを含めた自動制御可能な切開モードが多く用いられていると考え
られる(ステートメント2-1)”です。
しかし今回の2023年のRCTでは、複数の項目で有意差が出ています。以下に結果を提示します。

合計550例が無作為化された(ピュアカット272例、エンドカット278例)。
全体のPEP率は4.0%で、エンドカット群で有意に高かった(5.8% vs 2.2%、P = 0.034)。
単変量解析では、5回以上の試行(P = 0.004)とエンドカットモード(P = 0.034)がPEPの危険因子であることが明らかになった。
多変量解析では、PEPの危険因子として5回以上の試行(P = 0.005)とエンドカットモード(P = 0.052)の傾向が明らかになった。術中出血はピュアカットのほうが多かったが(P = 0.018)、全例ERCP中に内視鏡的にコントロールされた。遅発性出血はエンドカットでより頻度が高かった(P = 0.047)。穿孔(P = 1.0)や感染(P = 0.4999)については両群間に差はなかった。

エンドカットは、術中出血が少ないだけで、PEPや遅発性出血は多いという結果でした。
採択された雑誌もAJGということで、なかなかにインパクトがありそうです。そもそもこれまでの知見では、どの切開モードも臨床的に大きな差はなく、ESGEでも推奨の明記はありません。そのため、この論文の結果を受けて、ピュアカットモードを使ってみるというのもいいかもしれません。

2024年1月1日今月の論文紹介

Posted by ガイドワイヤー部長