悪性胆道狭窄に対するドレナージの第一選択は? 〜ERCP or EUS〜

2021年6月30日今月の論文紹介

2020年に報告された、悪性胆道狭窄に対する5つの報告のシステマティックレビュー/メタアナライシスです。
結論は難しいものではありません。
「技術的また臨床的な成功率は同等、偶発症は膵炎はERCPに多いがその他では差がない、ERCPでは腫瘍進行に伴うreintervention率が高かった。そのため症例によってEUSはERCPに変わって悪性胆道狭窄の第一選択になりうる。」としたものです。

本文に記載されている問題点をいくつか。
・ERCP群は前例SEMSの症例だが、covered, partial covered, uncoveredが入り混じっています。そこがERCPの腫瘍進行に伴うreintervention率の上昇につながった可能性があります。
・Brigde to Surgeryを対象とした研究ではないため、基本的には緩和的な胆道ドレナージの症例を対象としていること。
・ERCPと違い、EUSでは初回穿刺がうまくいかないと偶発症率を上げる可能性があり、本研究のような結果とするためには高い技術力を要すること。

本文では特別取り上げられていなかった問題点は、
有意差の記載はないものの、腹膜炎はEUS群でのみ認められました。361人が対象となり、EUS群は171人でしたが3人が腹膜炎となっていました。胆汁漏に関する記載はないようでした。そのため、腹膜炎や腹膜播種により手術できなくなる可能性、腹膜播種による麻痺性イレウスまたは播種結節による器質的な腸閉塞のリスクについては不明です。

著者の結論として、EUS優位な結果が出た現在でも、技術的な問題と専用処置具の不足から標準的な治療はERCPであるとしています。個人的には、EUS処置後の急性期には腹膜炎/腹腔内膿瘍が、晩期としては播種による腹水や腸閉塞が、QOL低下に寄与する心配があります。ERCPにも、どうしようもない偶発症である膵炎がありますが、今のところは先陣を切ってEUSファーストでやるほどの気概は生まれていません。しかし今回の報告が、EUSの敷居をさらに下げる研究の1つであると思います。