胆管炎において耐性菌の影響は小さい

今月の論文紹介,医療

先月は、抗菌薬投与期間は短縮可能という論文をご紹介しました。
今回は、広域抗菌薬の使用をより限定できる可能性がある論文です。

この論文では、胆管炎の起因菌が、初療時に投与した抗菌薬に耐性であったとしても、24時間以内にERCPが施行できるならばfatal outcomeは増加しないとしています。しかしERCP後4−5日してからの胆嚢炎合併が、耐性菌群で有意に増加しました。そのため、耐性菌リスクがある症例で広域抗菌薬を検討するとしています。

現在世界では年間50万人が耐性菌で死亡しているとされ、2050年には1000万人になるとされています。抗菌薬は、適正使用をしてすら耐性菌を増やしてしまいます。そのため広域抗菌薬は尚更控えることが必要と言われています。広域抗菌薬を使用するかどうかの判断は、①耐性菌リスクがもっとも大事で、②次に考慮することが時間的猶予(培養結果が出るまでに臨床的に当たっているかどうかを判断する時間的猶予≒重症度)だと思います。例え抗菌薬に耐性であっても、早期にERCPを行えば重症でもfatal outcomeは増加しないのですから。

胆管炎において初期投与の抗菌薬に耐性を示しやすいリスクは、一般的には医療器具や医療従事者と接触する機会が多いre-interventionの症例または介護施設入所者と報告されています。
Tokyo Guideline 2018で重症に区分されるからと安易に広域抗菌薬を使用することは控えたいと思います。
当院では、敗血症性ショックのような最重症の症例はもちろん是非もなしですが、PltやPT-INRが重症区分にひっかかるくらいは、耐性菌リスクがなければセフメタゾールを基本にしています。迷うのは、重症ではない耐性菌リスクのある症例です。将来の耐性菌増加を懸念してセフメタゾールを投与してしまうことも多いのですが、今後も悩み続けるケースかと思います。