EST後出血に影響するDOAC

2021年11月2日今月の論文紹介

EST後出血に関しては、毎症例ごとに不安がよぎりませんか?
高齢社会になって抗血栓薬を使用している症例も増えていると言われています。
2017年夏にはDOACに対して内視鏡学会ガイドラインの追補が出ましたが、エビデンスに乏しい部分があることはガイドラインの中でも記載されています。

今回ご紹介する論文は、抗血栓薬の中でも、抗血小板薬ではなく抗凝固薬についての研究です。
これまでに分かっている、抗凝固薬内服症例に対するEST後出血のエビデンスは、
・ワーファリン内服者は出血リスクと出血の重症度が高い
・ヘパリン置換するとさらに出血リスクが高くなる可能性がある
・DOACはワーファリンよりは出血リスクが低い
ざっくり言うとこんな感じでしょうか。今回の論文は、DOACがワーファリンより出血リスクが低いなら、非内服者と比較したらどうなんだという疑問に対しての研究です。

結果として、DOACは非内服者と比較して出血リスクを上げました。しかし全例で内視鏡的に止血できています。また非内服者と比較して、輸血を要した割合、出血性ショックに至った割合、EST前後でのヘモグロビン変化量などの重症度の指標には差がなかったとしています。またDOAC中止期間に血栓症の合併はありませんでした。

そのため結論は、DOACは非内服者と比較しEST後出血リスクを上げるけれども、その重症度は上げずに出血自体も内視鏡的に止血できるため、血栓症のリスクとのバランスを考えれば、DOACの短期中止でのESTは妥当だと結論しています。世の風潮として、出血リスクよりも非可逆的になりやすい血栓症リスクを重要視する流れです。この研究はそれを後押しするものになりそうです。

また、多変量解析で、「DOAC」だけでなく「血小板10万未満」「80歳以上」もEST後出血のリスクになるとした点も新しい発見です。