胆管炎後の感染性心内膜炎

今月の論文紹介,医療

胆管炎のガイドラインであるTokyoGuideline2018(TG18)によれば、GPCによる菌血症においては、感染性心内膜炎のリスクのため2週間の投与を推奨するとされています。皆さんはどれほど厳密に遵守していますでしょうか。


2017年に6,433人の胆管炎症例を追跡して感染性心内膜炎の合併率を検討した多施設の後方視的研究の報告があります。
(TG18ではそれも加味されています。)
この報告の結果は、全胆管炎における感染性心内膜炎の合併率は0.26%(17人)でした。
培養陽性率に関しては、胆汁培養陽性率は83.4%、血液培養陽性率は40.1%でした。
血液培養陽性からの感染性心内膜炎は1人で、しかも大腸菌でした。

(残りの16人の胆汁培養の結果がどうだったのかはやはり記載がなく、執筆者にメールで詳細の問い合わせをさせて頂きましたが、まだ返信がなく、返信があり次第追記をしたいと思います。)


GPCが何症例で検出されたかの記載はありませんでしたので、表に記載されている血液培養のGPCを数えてみたら243でした。
胆管炎は混合感染も珍しくないため、「GPCは243だが、GPCが検出された症例はそれより少なかった」ことが予想されます。しかし何例が混合感染かは記載がありませんので、混合感染は0だと仮定して、血液培養陽性の人たちがどれだけ感染性心内膜炎を合併したのかイメージを作ってみたいと思います。

研究の母集団6433人の40.1%が血液培養陽性なので2580人。
合併したのは1人(0.004%)、しかも大腸菌でした。
GPC243菌が検出されたのですが、そこからの合併はありませんでした。

(この論文では、ERCPの詳細や抗菌薬の詳細を検討しておらず、治療背景には差があると思います。またTG07に則って診断/治療をされていることも留意点です。)

このデータを受けて、ガイドラインをどう受け止めるか。
ガイドラインはGPCによる菌血症(血液培養陽性と同義と考えています)に対して長期の抗菌薬投与を推奨しています。
この研究では、胆管炎は全6433症例ですがGPCは243菌しか検出されておらず、合併すると大きな問題になりやすい感染性心内膜炎に関しては、ガイドラインを否定的と捉えるには物足りなさがあります。
しかしやたら合併しやすいものでもなさそうで、2週間も抗菌薬を投与するのは、人工弁や重度弁膜症の症例に限定してもいいのかなあと感じています。
次か、次の次くらいの研究テーマにして、前向き試験を組むか検討しています。