EUS-FNBにおいて19G針はゲノムプロファイリング検査に有用である
EUSによる膵癌の組織採取(EUS-TA(tissue acquisitio))に関して新たな知見が出ました。19G針 FNB針の有用性に関してですが、それを選択する場面が増えそうです!
本記事の略語:
endoscopic ultrasoundguided tissue acquisition: EUS-TA
NCC Oncopanel System :NOP
NOP、いわゆるゲノムのパネル検査ですが、それにおけるEUS-TAの成功率について検討した初めての報告です。
デザインは単施設の後ろ向きコホートで、2019-2021の検査期間内で22Gと19Gの比較をしています。多変量解析でNOP成功因子を検証しています。
結果として19G FNB針がNOPに対する適正検体採取率を上げる因子(19G FNB針(56.0%、42/75)、22G FNB針(32.6%、14/43)よりも有意に高かった)でした。
primary outcomeが、"NOPが成功しそうかどうかのプレチェック"に設定されており、「19G franseenならば超高額な検査であるNOPをオーダーに踏み切る検体が高率で採取できるだろう」といえる研究です。
secondary outocomeはNOP成功率ですが、NOP成功率をprimaryにするとincludeする症例数が減ってしまうデメリットがあります。また本検討でも、プレチェックを通過した60例のうち、NOPを行った30例は全例でNOPに成功しています。「19G FNB針なら高率にNOPも成功する」という仮説も提示できる研究だと思います。
実臨床では高額検査ゆえに、適さない検体は検査自体がオーダーを見送られることがあります。プレチェックを通過できる検体採取率が高いことは、NOP成功率が高いことと同様に有用な事実であり、再検査をせずともNOPに進める症例が増えるということです。
研究用の検査機ではなく、既に実臨床に導入されているNOPに対する検討であることも実臨床に活かしやすいですね。
既報に比べて成功率が低いのですが、本文に記載があるのですが既報に比べて「成功」の定義がより厳格なためと思われます。
<未解決点>
①穿刺回数について
本研究では、4回穿刺が推奨されています。初回穿刺のROSEで悪性細胞を確認後2〜3回の穿刺を追加したようですが、どのように2回と3回追加を分けたのかの記載はMethodにはありませんでした。本研究では3回穿刺と4回穿刺の症例しかいないので、最近の既報で多い2回穿刺で十分かどうかは本研究では明らかでなく、19G FNB針にとって今後の課題だと思います。
②穿刺部位や大きさについて
本検討は腫瘍サイズが中央値33mmでした。部位や大きさで組織採取率は変わる可能性がある(細径針でも苦手とするところですが19G FNB針はとくに苦手な可能性がある)ため、「穿刺しにくい膵頭部小病変に対しても19Gで有効に検体が採取できるか」も今後の課題と思います。
③群間の時間差について
後ろ向きコホートであり、2019〜2020年は22Gが多く、2021年は19Gが多いというような群間で若干の時間差があります。この間に手技に変化はなかったか、例えば、FNBの最適な陰圧方法について2020に新しい知見が加わったが、それにより研究期間後半の19Gの手技に修飾が加わっていないか?という疑問はあります。
以上のことから,19G針は,早急なゲノム検査が必要でプレチェックに失敗したくない患者や,22G針による検体ではプレチェックに合格できなかった患者に適していると思います!ただし穿刺回数、部位による有効性の違いは未解決として19G FNB針を使用して頂ければと思います。
また、有意差がつかなかったものの偶発症は19Gで多い傾向にあり、とくに膵炎が多かったことから、原発巣ではなく転移巣への穿刺ができる場合に使用を考えてみてはどうかと記載があります(転移巣が19Gのメインターゲットとなった場合、上記②の部位や大きさについての問題はクリアすることになりそうですね。原発巣の状況には寄らないことになりますから。)。
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