EUS-BDの成功率と偶発症に関するメタアナライシス
先日EUS-BDとERCPを比較した論文を紹介しましたが、今回はEUS-BDのこれまでの報告をまとめたメタアナライシスになります(EUS-BDとERCPを比較した論文を紹介した記事)。この研究では、23の研究(1437名の症例)が対象となりました。ERCPとの比較をした研究ではありませんが、EUS-BDの全体像を把握するのに役立つと思います。
ほとんどの症例が3次医療施設で行われ、technical successは91.5%、clinical successは87.0%でした。
偶発症は、17.9%でした。内訳はsupplementary fileに詳細が載っていました。個々のevent rateは、胆汁瘻0.041、出血0.036、free air0.033、ステント逸脱0.039、感染0.038でした。
メタアナライシスの場合、個々の研究間でばらつきがあるか異質性の検定を行います。その結果ですが、3次医療施設であっても、成功率に関しては高いばらつきがあったようです。これは単に技術力の問題ではなく、難しい症例まで適応を広げているかにも関わると思いますが。
偶発症に関しては、感染症/free airに関しては低いばらつきで、出血/胆汁漏/ステント逸脱では中程度のばらつきだったようです。
偶発症はそこそこ多い結果でしたね。11074件のERCPをまとめた報告では9.8%だったようですので、それと比較して高い結果でしたね。(Enochsson L, et al. Nationwide, population-based data from 11,074 ERCP procedures from the Swedish registry for gallstone surgery and ERCP. Gastrointest Endosc. 2010)
過去文献との比較は統計的に意味があるものではありませんが、それでも少し高い印象です。その点は、技術的な特性ではなく、専用機材が少ないことに起因しているだけかもしれません。そのような意味もあると思いますが、現状はERCP困難例への救済手段であり、ERCPに代わり第一選択になるかどうかはさらに研究が必要と結論されています。
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