胆管炎ガイドラインの正確さ
ちょっとおもしろい論文を見つけました。日常診療に追われているといつの間にか忘れてしまうこと、ガイドライン通りに診療すれば大丈夫という思い込みのようなもの、そこからふいに我に帰るような感覚をくれた論文です。
世界で引用されている日本の国際ガイドラインTokyoGuide2018(TG18)、オランダのDPSG基準、なつかしのCharcot3徴の3つの診断能を前向きに調べた研究です。胆道閉塞が疑われ,ERCPを受けた797患者を対象にして、オランダの全国前向きコホートとして行われました。
TG18、DPSG、Charcot triadを用いると、それぞれ345人(44%)、55人(7%)、66人(8%)の患者が胆管炎と定義されました。TG18の感度は82%,特異度は60%であった.DPSGおよびCharcotは同等で、感度は42%および46%,特異度はそれぞれ99.7%および99%でした。
TG18は有用なガイドラインのようですが、診断に関しては2割程度の見落としがある可能性を念頭に、病歴やこれまでの治療歴などを考慮した上で診療することが重要なようですね。しかしTG18の通りでは、4割は誤診になってしまう可能性も指摘されていますので、初診時のワンポイントだけで決断せず、軽症例では即ERCPとせずに、1-2日の時間をおくことで検査値などの変化を観察することも必要かもしれません。
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