胆管カニュレーションにおけるOpening window fistulotomy

今月のERCP困難例

胆管挿管における新しい技術が報告されました。
「1cm以上ある口側隆起に限定するが、胆管カニュレーションの初手から乳頭開口部に触れることはせず、口側隆起をプレカットナイフで横向きのH字状に切開し、大きく粘膜を開くことで括約筋を露出/同定しやすくする。それによるメリットは、開口部を触らないことによるERCP後膵炎の回避にある。」
という主旨の論文です。

この研究においては、前向きに110例が登録されましたが、口側隆起が1cm以上必要なため、実際にopening window fistulotomyが実施されたのは30症例(27.3%)でした。少数の検討ではありますが、この30例は全例で成功し膵炎は起きなかったので、今後の検証試験が期待されます。

しかし原法を遵守するなら、解剖学的に1/4しか適応にはなりません。また抗血栓薬服用者や重症胆管炎によるDIC傾向では適応にしにくいかもしれません。一部の症例には非常に期待を持てる技術と思いますが、これまでに確立された胆管カニュレーション技術は、今後も必須と思います。

今月のERCP困難例

Posted by ガイドワイヤー部長