切除不能な悪性胆道狭窄に対するERCP vs EUSガイド下胆道十二指腸吻合術(RCT)
今回は、以前から度々話題になるテーマですが、ERCPとEUSでのドレナージはどっちがいいんだい、というものに対するRCTです。今回のEUSドレナージは、十二指腸胆管瘻(いわゆるEUS-CDS)です。本試験ではESCDと略され、ステントはLAMSのみを使用しているという特徴もあります。
結果と結論を以下に提示します。
結果
2017年1月から2021年2月までに155例の患者を募集した(ECDS 79例、ERCP 76例)。
1年ステント開存率に有意差はなかった(ECDS 91.1% vs ERCP 88.1%、P = 0.52)。
技術的成功率はECDS群で有意に高かったが(ECDS 96.2% vs ERCP 76.3%、P < 0.001)、臨床的成功率は同等であった(ECDS 93.7% vs ERCP 90.8%、P = 0.559)。手技時間の中央値(四分位範囲)はECDS群で有意に短かった(ECDS 10 [5.75-18] vs ERCP 25 [14-40] 分、P < 0.001)。
30日有害事象発生率(P = 1)および30日死亡率(P = 0.53)は同程度であった。
結論
切除不能なMDBOに対する一次胆道ドレナージは、いずれの手技も選択肢となりうる。ECDSはERCPよりも技術的成功率が高く、手技時間も短かった。難易度の高いERCPが予想される場合は、一次ECDSが望ましいかもしれない。
成功してしまえば同等ですが、ERCPの方が技術的成功率が低いというものでした。
気になることは、ERCPの成功率が低すぎることと、1年開存率がどちらの群も高すぎるということです。つまり、医療者側の偏りとして極端な話、ERCPをやらずにEUSばっかりやってる施設が参加していないか?患者側としては、ステント開存期間が長くなるような症例が偏っていないか(一般的な集団の特徴と乖離がないか)というのが気にはなりました。
また著者らがLimitationで述べていますが、サンプルサイズは「1年開存率をアウトカムに設定した上で、ESCD群87%とERCP群67%で計算」されています。しかし結果は両者共に90%を超えました。この問題が、本試験の結果の真偽にどれほど影響するかまでは記載されていませんでした。
気になる点はありますが、結論は既報と似ており、EUSドレナージはERCPに勝るとも劣らない、というものでした。
日本ではERCPファーストが優勢と思いますが、数年後にはEUSファーストの時代が来るかもしれませんね。
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