胆嚢摘出術における胆管損傷〜とくに再建術後の胆管狭窄〜

2023年1月13日今月の論文紹介

外科から時折、“胆摘後の胆管損傷で胆管空腸吻合術を要した症例の吻合部狭窄"に対する内視鏡を依頼されることがありますよね。胆管空腸吻合術を行なった場合、どのくらいの頻度で起こるのか調べてみました。
11-30ヶ月後に、およそ10-20%で発生するようです。

胆管空腸吻合術を受けると、脂肪肝を起こしたり、再狭窄を繰り返すことでの胆管炎への対応や肝萎縮、そこから門脈圧亢進症を起こしたりなど、患者さんへの影響は多大なものになります。一定の確率で胆管損傷が生じること(記憶では、胆摘の0.5%という既報があったと思います)は仕方ないとしても、我々内視鏡医が術前に関与する場合は、右肝管や後区域枝の異所性分岐などの解剖学的情報を外科医に伝える努力をすること/胆摘時の胆管損傷発生後に外科より相談を受けた場合は胆管空腸吻合術を回避できるようドレナージ方法を検討すること/胆管空腸吻合術を要してその狭窄が起こってしまったら、そこから派生する合併症のフォローと対応を外科に提案することなどができます。内科医であっても、術後合併症に対する知識は必要と思っています。

2023年1月13日今月の論文紹介

Posted by ガイドワイヤー部長