胆嚢摘出術による胆管損傷とその後の狭窄
胆石性胆管炎後の管理をどうしていますでしょうか?
ERCPでの治療後の胆石関連イベントは30-50%に起こると報告され、その80%が半年から2年程度で起こるとされています。再発率は高く、比較的早期に再発するということで、余命が長くはないような高齢者であっても無視できない問題です。
そのため80歳以下の有石胆嚢であれば、予防的胆嚢摘出術を行うことが胆石症ガイドラインでは推奨されています。これにより再発率を10%未満に抑えることができるようです。
しかし無視できないのがやはり偶発症。上記の文献2つは、その偶発症について述べたものです。
とくに胆管損傷による胆汁漏と、その救済処置後の胆管狭窄です。
胆管損傷は0.5%程度に起こるとされています。
minor leakであれば内視鏡的ドレナージ(ENBD)を行います。手術時に留置した胆摘部のドレーンから胆汁排液がなくなれば、ENBD造影を行い、漏出がなければ抜去します。成功しても入院期間は2週間前後延びます。
major leakや完全離断の症例では胆管空腸吻合術を要します。そして胆管空腸吻合術を行った症例の2-12%は吻合部狭窄を来すとされています。そうなれば胆管炎を繰り返したり、治療困難な胆石を合併したりと大変で、QOLに与える影響は多大です。
ここまで至ってしまう症例は1000人に1人以下かもしれませんが、胆石症の有病率を考えれば明日は我が身と思い、一緒に予防的胆嚢摘出術を受けるか悩んであげるのが最適なのかなと思います(ガイドラインの推奨を推し過ぎるのではなく)。
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