EUS-GEにおけるLAMSは抜去すべきか

日本ではEUS-GE自体が一般的ではないですが、これまでの報告からは今後のEUS-GEの普及が見込まれます。
そのため知見を知り、有用なものであれば認可後すみやかに患者さんに還元していきたいです。
その中で、EUS-GEのトピックの1つとして、留置したLAMS抜去についてはまだ世界的コンセンサスはないようです。
それについての論文を紹介します。
論文の主要なポイント
1. 技術的成功率
- 22例のうち21例(95.5%)で技術的成功
- EUS-GEは良性のGOOに対して高い成功率を示した
2. 有害事象(Adverse Events: AEs)
- 4例(19%)で有害事象が発生
- 1例は軽度の腹痛 で、治療介入なしで自然軽快
- 3例(14.3%)は重篤なAE
- 処置後2日目に吻合部の胃潰瘍からの出血
- ICU入院、内視鏡的止血(エピネフリン+APC)で管理
- LAMSの抜去は不要だった
- 処置1年後にLAMSが近位回腸へ逸脱し、小腸閉塞を引き起こした
- 内視鏡的除去を試みたが失敗し、最終的に開腹手術で摘出
- この時点でGOOは解消しており、外科的バイパスは不要だった
- 壊死性膵炎の患者で、LAMSが胃から結腸を貫通し空腸に到達
- 造影検査でステント周囲の漏出なし
- 通常食を摂取可能で、栄養状態が整った後に外科的修正予定
- 処置後2日目に吻合部の胃潰瘍からの出血
3. LAMSの抜去
- GOOが改善した21例のうち18例(85.7%)で選択的にLAMSを抜去
- 平均 270±273日 後に抜去
- 3例(14.3%)は執筆時点で抜去待機中(膵仮性嚢胞2例、LAMS誤配置1例、Billroth I狭窄1例)
- LAMSを抜去した18例のうち、3例(16.6%)が最終的に外科的吻合に移行
- 平均フォローアップ 564日(SD ± 381)
- フォローアップ期間中の死亡例なし
4. LAMS抜去の推奨
- 膵液貯留のドレナージなど、他の用途では長期留置が推奨されない(出血や埋没ステントのリスクがあるため)
- GOOが解消したら、できるだけ早期にLAMSを抜去するべき(本研究では中央値270日で抜去)
- ただし、悪性閉塞は例外で、抜去すべきではない場合もある
良性閉塞でLAMSを抜去していいなら、悪性閉塞だったとしてもLAMS留置部位は健常部ですから抜去していいように思います。ただ、EUS-GEをするような悪性疾患での消化管閉塞は、余命も短くなってしまう場合が多いため、抜かなくても、偶発症を起こすまでに亡くなられてしまうことが多いのでしょうね。
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