切除不能膵癌における手術 vs 化学療法継続
膵癌は、化学療法だけでは予後不良であることは周知の事実です。この10年程度で化学療法の発展があり、切除不能膵癌が化学療法で縮小した場合に手術をする症例が増えてきました(コンバージョン手術。切除可能や切除可能境界の症例に対するNAC+OPEではない。)。
しかしコンバージョン手術に対する根拠は乏しい状況でした。日本から後ろ向き研究が出版されたのでご紹介します。
【結果】
手術群のOSは対照群よりも長かった(HR 0.47、95%信頼区間[CI]:0.24〜0.93)。
手術群と対照群のOSの中央値は、それぞれ34.4(95% CI:27.9〜43.4)、19.8(95% CI:14.9〜31.1)か月だった。
Clavien-DindoグレードIIIa以上の術後合併症および院内死亡率は、それぞれ19.6%と0.5%だった。
多変量解析の結果、術前化学療法の期間はOSと関連がないことが明らかになった。
計画段階では、対応のある有意水準(対応のあるα)5%、検出力80%でハザード比0.7を見つけるために、手術群240例 vs 化学療法継続群120例の集積を計画したようです。しかし結果として手術群207例 vs 化学療法継続群10例しか集まりませんでした。化学療法だけでは予後が悪いのは目に見えており、後ろ向き研究であっても症例を見つけることが困難であったようです。
しかし化学療法だけではOS 1年半というのは納得できる期間です。それに対して手術群のOSは3年近くですし、OSに対する生存曲線はある時期から横ばいになります(根治できた可能性)。これは化学療法単独では難しいことですので、コンバージョン手術を目指すメリットはあるようです。
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