肝硬変における胃静脈瘤出血症例に対して、EISの1次治療後にBRTOやTIPSによる2次治療を追加すべきか

2025年に出版されたRCTです。RCTなので内的妥当性は高いと思われますが、単施設および少数例ですので外的妥当性や一般化可能性については低い可能性があります(つまり、本研究のために抽出された集団にだけ適合する結果である可能性)。
しかし、臨床判断をするための一助になると思いますのでご紹介します。
EISを数ヶ月おきに繰り返した群 vs EIS後にBRTOかTIPSを追加した群での比較です。
【結果】
1年目のGV再出血率は、RI群(治療追加群)と比較してEI群(内視鏡単独群)の方が高く、EI群では11例(24.4%、95%信頼区間[CI]、12.9%-39.5%)であったのに対し、RI群では1例(2.2%、95% CI、0.1%-11.8%)であった(P = .004、絶対リスク差:22.2%、95% CI、8.4%-36.6%)。
1年後のGV関連再出血1件を予防するために必要な治療数は4.5であった。
GV再出血関連死亡率は、EI群で8例(17.8%、95% CI、8.0%-32.1%)がRI群(1例(2.2%、0.1%-11.8%))よりも有意に高かった(P = .030、絶対リスク差:15.6、95% CI、2.9%-29.2%)。しかし、全死亡率については両群間に差は認められなかった(12例 [26.7%; 95% CI, 14.6%-41.9%] vs 7例 [15.6%; 95% CI, 6.5%-29.5%])。
という結果でした。「胃静脈瘤出血をEISで1次止血した症例において、4.5人にBRTOまたはTIPSを追加すれば1人の1年後再出血を予防できる。」というものです。
BRTOには腹水増悪のリスクがあり、TIPSには肝性脳症悪化のリスクがあります。TIPSは現時点で本邦未承認です。
私は「EIS後の画像評価で静脈瘤の血流が残っている場合、腹水をコントロールできる見込みがあるならBRTO追加を放射線科と相談する」方針にしています。ただし、静脈瘤の再発予防は、本研究のようなEIS後のBRTOやTIPSだけではなく、部分的脾動脈塞栓術(PSE)やβブロッカーという門脈圧を低下させる選択肢があります(BRTOは門脈圧を上昇させる)。腹水が懸念される場合は、それらを優先するのも手です。現状ではコンセンサスはありませんので、症例ごとに、患者さんの胃静脈瘤および肝硬変を安全に管理できる選択肢を頑張って考え出そうと思います。







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