EUS-FNABのエビデンスとテクニック 2022までの集積


皆さんは、EUS-FNABの手技をどうしていますか?
針の選択、手の動かし方、穿刺回数などに根拠を持ってやっているでしょうか。
症例によってやり方を変えていますか?
今回はそんなお話です。

日本でやり始めの頃は、1症例に対して医局員総出で2時間くらいかけてやっていたという話もあるようです。


EUS-FNAに関して推奨されている方法を提示します。



ここまでの知見からEUS-FNAは、どのような症例に、どの針を選択して、陰圧をどうして、穿刺ストローク数と回数をどうするか、イメージできますか?ざっくり言うと、膵頭部で小型で固い病変に対しては穿刺回数を増やそうかなと考えてみてください。
次はEUS-FNBについてです。組織構造が重要な悪性リンパ腫やGIST、NET、さらにゲノムプロファイリング検査のためにも重要性が増しています。

EUS-FNBはまだ新しく、その方法についてはEUS-FNAほどにはエビデンスの集積はありませんが、現時点で分かっていることを提示します。


ここまでの知見を考慮して、現在の私のEUS-FNABは:

ここまでが通常の手技に関するススメです。
ここでいったん、私が愛用しているfranseen needleの1商品であるTopGainの紹介をしてから、EUS-FNA困難例について話を進めたいと思います。
TopGainは穿通性、柔軟性、視認性、検体量という点で優れていると感じています。


左の画像でも、針がしっかり立っているのが分かりますね。



少し余談でしたが、ではEUS-FNAB困難例の紹介です。

下2つはスコープ操作で穿刺経路を見つけられます(自分次第だ)が、上2つは穿刺針の性能による(デバイスに頼る)ところも大きいと感じます。
(他院の先生方の話を聞くと、深い病変は22G franseenの中でも、 しなりやすいTopGainではなく、直進しやすくエコー画面から外れにくいAcquireを使用して視認性を担保するという対応をしているというアドバイスも頂きました。ありがとうございます。)


紡錘形細胞の索状配列。右はSMA染色。
良い検体がとれています。
困難例をもう1つ:

そのため針をゆっくり出し、胃壁がこれ以上進展しなくなって針に反発力を感じたところでプッと瞬間的な力で1cm程度進めて穿刺しました
(出し始めから全力でではなく)。

紡錘形細胞の索状配列。右はC-kit染色。
良い検体がとれています。

紡錘形細胞の索状配列。右はC-kit染色。
左の針の写真は、私が愛用しているsonotip procontrol(上)というmenghini針と他社製品(中、下)を並べたものです。sonotipだけやたら鋭く見えるので、見た目で気に入っています笑(主観としてもsonotipの穿通性が高いという感じがあり愛用していますが、menghini針のどの針が優れているかという質の高いデータはありません。)
最後は偶発症に関する複数のデータを提示します。

分母を10941例とした場合、膵炎0.3%、出血0.1%、感染0.02%、穿孔0.02%となる。

その場合のアウトカムである偶発症はそもそも低率ですし、しかも針ごとでの比較なんて臨床試験はやるのが大変そうですが。。。「穿刺しにくい針」群に組み入れた針のメーカーと険悪になってしまいそうですし笑





どうだったでしょうか。現状の知見をまとめてみましたが、コメントがありましたら、是非コメントフォームよりお願いします!
また19G FNB針の有用性に関する論文がオンラインになりました。ゲノムプロファイリング検査を行う症例では、22G FNB針より有用性が高い場面がありそうです!
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