PubMedの検索式

2022年8月17日

PubMedはよく使いますよね。みなさん、検索はどのようにしていますでしょうか?

適当に調べたい単語を入力し、タイトルから自分にあった論文をピックアップしたら、次にそれらのアブストラクトを読んで自分が求めている論文を探す、という感じでしょうか(私がそうでしたから笑)。

ここでは、「自分が望むような論文をHITさせる」ための検索式を説明します。

といっても、エビカツ横丁さんのブログを参考にしたんですけど!
でもこの検索式ですが、私は臨床研究をするようになってから「あ、ちゃんとしなきゃ」ってなったんですよね。
だから、研修医のころからすでに必要な情報を検索するだけでもしっかり使っている人はいるでしょうし、そもそも検索式って存在を教えてもらえない環境で臨床をしている方もいるかもしれません。知っても躓く人が多い印象です。だからこそ多くの人にやり方を知ってもらいたく、ここでも紹介させて頂きます。
エビカツさんのブログはとても分かりやすいので一読して頂きたいですが、印刷するとA4用紙で30枚分になります。ここでは、もっとライトに知りたい場合を想定し、まずは検索式を使うことに慣れてもらうためより簡潔化します。またエビカツさんの「ブログに1点だけ付け加えた方がいいなと思った情報があるのでそれも付記します。

まずは検索式のルールです。

①1つのくくりにしたい単語を「""」(ダブルクォーテーション、ダブルちょんちょん)で囲むこと。


②「""」で囲んだものの横にタグを付けること。タグとは、「""」が論文のどこにあれば引っ掛けますよというもの。
よく使うものは、[title], [tiab], [Majr], [MeSH]でしょうか。[title]はそのままでタイトルに「""」で囲んだものがある場合、[tiab]はタイトルとアブストラクトにある場合、[Majr]はその論分の中心的主題の場合に引っ掛けます。[MeSH]はですね、同義語たちのリーダーです。サツマイモをイメージしてください。MeSHは同義語たちを全て引っ掛けるためのツルです。同義語たちがサツマイモです。

※どの単語がMeSHなのか
以前の私はここでつまずきました。「PubMedのデータベースで見たらいいよ」と言われるのですが、単語帳のようなものの中から自分が検索したい単語のMeSHを延々と探し回ることになるのかとイメージして挫折しました。そうではなくて、PubMedを開いたらページの下の方にスクロールしてください。そこにMeSHというタブがあります。

この下

このMeSHを押すと単語を打ち込める画面になりますので、そこに例えばcancerと入れて決定ボタンを押してください。飛んだ画面の右下のボックスに注目です。


neoplasm「がん」はcancerだけでなくadenocarcinomaやtumorやneoplasmでも同じように使いますよね。その中で、neoplasmがMeSH(つる)で、cancerはtext word(さつまいも)ですよと教えてくれます。
ここだけはエビカツさんのブログでも説明がなかったので、付記しておきます。他の部分はとても分かりやすいです。

③大きいくくりは()を使う。
「""」が1つの手技や1つの疾患をくくるものだとしたら、()はそれらをさらに大きくまとめられます。
例えば、胃潰瘍の中でも内視鏡的止血術をやった人だけを広く調べたい場合、「 “stomach ulcer"[MeSH] AND “hemostasis, endoscopic"[MeSH]」ですが、ではこれを研究デザインはRCTとシステマティックレビューだけ、かつ雑誌はLancetとN England Journal of Medicineだけに絞ってHITさせたい場合はどうしますか?ここで()です。
“stomach ulcer"[MeSH] AND “hemostasis, endoscopic"[MeSH]AND (“randomized controlled trial"[pt] OR “systematic review"[Filter]) AND (“N Engl J Med"[ta] OR “Lancet"[ta])」こんな感じ。

※タグ
[pt]はpublication type。
雑誌は[ta]や[journal]タグを付ける。

④接続語
これらの「""」「()」をつなげるものですが、AND, OR, NOTの3つです。

このように「(主題)+(研究デザイン)+(雑誌)」の形にすればOKです。
後ろ向きのコホート以外のレベル高めの研究だけを広く集めたいよってことなら、(雑誌)のところに「AND (“randomized controlled trial"[pt] OR “systematic review"[Filter] OR “Cohort"[All Fields] NOT “retrospective”)」です。

●講演会の資料をお手軽に集めたいよ
“review"[pt]

●自分の論文のIntroductionやDiscussionで、少しでも根拠となる論文を集めたいとき
“randomized controlled trial"[pt] OR “systematic review"[Filter] OR “Cohort"[All Fields]

●治療方針に迷ったときのエビデンス探し(例えば、若年者のERCP時に迷う、EPBDとESTの長期偶発症は?など)
“randomized controlled trial"[pt] OR “systematic review"[Filter]
雑誌も消化器での上位誌に絞るなら:AND (“JAMA"[ta] OR “JAMA internal medicine"[ta] OR “BMJ"[ta] OR “N Engl J Med"[ta] OR “Lancet"[ta] OR “Ann Intern med"[ta] OR “CMAJ"[ta] OR “Cochrane Database Syst Rev"[ta] OR “Nat Rev *"[ta] OR “Gut"[ta] OR “J Hepatol"[ta] OR “Gastroenterology"[ta] OR “Am J Gastroenterol"[ta] OR “Clin Gastroenterol Hepatol"[ta] OR “Endoscopy"[ta] OR “Lancet Gastroenterol Hepatol"[ta]))

以上をまとめると、例えばERCPの質の高い最新論文を検索しようとしたら、
(“Endoscopic retrograde cholangiopancreatography” [tiab]) AND (“randomized controlled trial"[pt] OR “systematic review"[Filter] OR “Cohort"[All Fields] NOT “retrospective”) AND (“JAMA"[ta] OR “JAMA internal medicine"[ta] OR “BMJ"[ta] OR “N Engl J Med"[ta] OR “Lancet"[ta] OR “Ann Intern med"[ta] OR “CMAJ"[ta] OR “Cochrane Database Syst Rev"[ta] OR “Nat Rev *"[ta] OR “Gut"[ta] OR “J Hepatol"[ta] OR “Gastroenterology"[ta] OR “Am J Gastroenterol"[ta] OR “Clin Gastroenterol Hepatol"[ta] OR “Endoscopy"[ta] OR “Lancet Gastroenterol Hepatol"[ta])
などという感じになると思います。

この検索式を pubmed の検索バーに入れて検索した後,検索バーの下にある〈Create alert〉ボタンを押せば、メールで自動配信してくれるようにもなります。

検索式は、質の高いことできるだけ簡便にやろうと思ったら必要です。
しかし私は何度も躓いていました笑

少しでも多くの方の臨床判断や臨床研究の役に立てばと思い、紹介させて頂きます。
(引用:エビカツ横丁


2022年8月17日

Posted by ガイドワイヤー部長