センスじゃない?胆管挿管99%への一歩② 〜スコープを操作して胆管イメージに合わせる〜
この記事では、「②その胆管イメージにカテーテルを合わせる」を解説します。
前回の記事、①胆管走行をイメージする、の続編です。
前回の記事では、
・口側隆起の正中が12時方向
・口側隆起の大きさを見て、傾きと奥行きをイメージする、
という話を具体的にしましたよね。
みなさん、イメージの胆管にカテーテルを合わせるというと、どのような操作が思い浮かぶでしょうか。
無限の選択肢からセンスでそれを選びとるのではありません。
ERCPスコープを十二指腸に落として乳頭を見てからの基本となる操作は、大きく分けて4つと思って下さい。
とその前に、十二指腸にERCPスコープを落としたら、乳頭は勝手に挿管しやすい位置に来るのでしょうか?
いいえ、全ての症例が勝手に良いスタート位置には来てくれません。なので、まずは画面における乳頭の位置調整からです。
イメージしやすい様に言えば、胆管は口側隆起の中では水平より30~80度くらい立ち上がっています。そのため、初期位置としては、画面上の真ん中水平面よりはやや上に置きます。
例えばこの症例。
水色の網掛けの辺りが乳頭を置く目安です。
そこに乳頭を置いたら、いざ胆管をイメージ。
この口側隆起は大きくはないので、胆管の傾きは口側隆起の正中12時で、奥行きは30度前後の立ち上がりとイメージを設定します(胆管軸の設定については前記事「センスじゃない?胆管挿管99%への一歩①」をご覧ください。)。
そしていよいよ本題です。
ではこのイメージした胆管にどうカテーテルを合わせていくか。基本となる操作は3通りです。
まずは、初期位置よりも「乳頭をスコープで下から見上げる」ように操作する場合です。
①起上鉗子を立てる:単純にカテーテルが立ち上がります。
②スコープをpushし、アングルはアップを掛ける:乳頭よりも下に行き、そこから見上げるイメージです。
③右アングルを掛ける:右下から左上を見るような動きがでます。
④スコープの右トルク:患者さんの個人差がありますが、右アングルと似た動きになるか、水平に右に動きます。
とくに口側隆起が大きい場合は、「立ち上がりの強い11時方向」に胆管が走りますので、見上げかつ右から左を見るために①ー④の操作を全て組み合わせて調整します。
①の起上鉗子を立てるはイメージしやすい操作かと思います。
②のスコープpush+アップアングルでの動きは、岩崎先生の論文で分かりやすいイラストが提示されておりましたので、引用させて頂きます。
②はイメージしやすいと思います。
③④については、「それぞれの操作で透視画面でスコープがどう動くか、その時内視鏡画面はどう動くか」を以下の動画で提示します。
動きには、個々の解剖による個人差があるので、いきなり胆管挿管を始めずに少し素振りをしておくと、その症例では胆管イメージにカテーテルを合わせるためにはどの操作をするかが思いつき易くなると思います。
実際の胆管挿管の動きを動画にしてみました。
次の記事では、胆管挿管困難例への対処について、そのいくつかの方法、出す順番、タイミングを紹介していきたいと思います。
(センスじゃない?胆管挿管99%への一歩③)
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