センスじゃない?胆管挿管99%への一歩 ZERO 〜カテ先を思いのままに動かす〜
他の術者がやっている時に、次にどのようなスコープ操作(スコープトルクやアングル操作)をすればいいのか、パッと言えますか。
胆管軸をイメージすることは、次項以降で解説しますが、そのイメージにカテ先を合わせるための操作についてここでは解説します。
(以下に出てくる動画は、念のため全てに年齢制限を掛けてあります。画面に表示されたリンクからYoutubeに飛んでご覧ください。)
実際の操作の解説をする前に、口側隆起について補足動画を提示します。
胆管の走行をイメージするために口側隆起を用いることが基本ですが、もっと細かく言えば、胆管は口側隆起のさらに中の括約筋の中を走行します。
口側隆起が大きいと、この括約筋との形の差が大きくなりえます。以下の動画では、大きな口側隆起を切開してみて、括約筋と口側隆起(十二指腸粘膜)との差を見てもらいます。やや硬めに見える括約筋と十二指腸粘膜が、別の動きをしているのが分かります。
つまり口側隆起が大きいほどに、括約筋の長軸方向を誤認する可能性があります。
そのため私は、口側隆起が大きい症例では、カテ先やカテの縁を使って、括約筋の長軸を把握するようにしています。
ここからは実際の操作についてです。カテ先を胆管軸に合わせる場合、よく用いる操作は"右アングル/左トルク/Push+Up"の3つです。それぞれにおけるカテ先の動きを提示します。
右アングル:
開口部とカテ先の距離はあまり変わらずに、11時方向を見上げます。
左トルク(右手によるスコープの左回し):
開口部に近づくように11時方向を見上げます(11時方向を見上げる近接法)。
Push+Up(スコープをPushして、Upアングルをかける):
これは開口部との距離を開きながら見上げます。
距離が開くので、造影カテーテルやEST knifeのしなりを利用してさらに見上げ軸を作ることが可能になります。
続いて左アングル/スコープを引きながらの左トルクです。
これらはスコープが胃方向へ抜けていく動きになりますので、カテーテルは寝る方向に動きます。
胆管が、急峻に立ち上がりその後水平に走行する症例(NDS蛇行症例)が、口側隆起が大きい症例で経験されます。NDSの蛇行でGWが突き当たってしまう症例では、GWが突き当たる屈曲部を直線化するために、胆管の入口にカテ先を少しだけ入れた後、左アングルやスコープを引きながらの左トルクでカテーテルを寝かすことで、その後のGW操作を容易にしたり、蛇行したNDSの屈曲部を直線化することができます。
ところで、胆管軸にカテ先を合わせるとき、開口部との距離感はどうしていますか?
開口部から話してカテ先を合わせた場合、当たり前ですがカテ先を開口部に近づける必要があります。この数mm〜2cm程度の動きは、アップアングル/カテを押す/スコープを引くという動きでなされます。
これらの動きをすることで、カテ先は胆管軸からずれて行く可能性があることも知っておいていいと思います。とくにカテーテルは、構造的にしなるようにできています。そのためスコープから出した直後は8時方向を向いており、そこから出せば出すほど12時〜1時方向へしなっていきます。
今回の動画では、アップアングルだけで近づいたときに開口部からズレてしまう様子/カテ先を出すほどにしなっていく様子を提示します。
今回のまとめです:
・口側隆起が大きい場合の括約筋との差
・カテ先を胆管軸に合わせる場合、よく用いる操作は"右アングル/左トルク/Push+Up"の3つ操作によるカテ先の動き
・左アングル/スコープを引きながらの左トルクによるカテ先を寝かせる動き
・開口部に近づく動きでカテ先が胆管軸から外れる可能性
次回から、実際の胆管軸の設定方法を提示します。
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