肝細胞癌 〜分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬〜

使用する順番をまとめてみます。


種類が多いですよね。
 分子標的薬:ソラフェニブ、レンバチニブ、レゴラフェニブ、アテゾリムマブ+ベバシズマブ
 免疫チェックポイント阻害薬:ラムシルマブ、カボサンチニブ

明確な順番はまだ定まっていないようですが、2021年の肝臓学会教育講演で勉強したことをまとめてみます。

<まずは1st lineをどうするか?>
2017年日本肝臓学会肝癌診療ガイドライン(補訂版)では、『外科手術/移植/RFA/TACEが適応とならないChild-Pugh(A)の症例』における治療は、全身化学療法のアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法を第一選択として推奨するとしています(私はAmab+Bmabと呼んでいます。言いやすいので笑)。
第二選択として、ソラフェニブまたはレンバチニブとしています。

これらの特徴なのですが、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法は、ソラフェニブに対して優越性を示しました(IMbrave150試験)。レンバチニブとソラフェニブは同等です(REFLECT試験)。
試験間の治療成績を比べるのは統計的には意味のないことですが、生存期間中央値は、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法で1年半、ソラフェニブとレンバチニブは1年というイメージです(アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法とレンバチニブを比較した試験はありません)。
アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法は、高齢者でも忍容性がわりとあるようです。

実臨床では、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法またはレンバチニブを使う場合が多いようです。
ただし、レンバチニブは低分化型に対しても有効性が高いことが言われており、進行が早い症例や画像検査で非単純結節型の場合は、低分化型を疑いレンバチニブを第一選択とするようです。


<2nd line以降を含めてまとめてみます>

1st lineでレンバチニブを使用した場合は、2nd lineにAmab+Bmabを持ってくればいいです。

3rd. line以降も選びやすいように少し補足します。前置きとしてどれが最も有効かはまだわかっていません。
ただ、ラムシルマブはとくに高齢者に対する忍容性が高いようです。しかし導入のためにはAFP>400という縛りがあります(REACH-2試験)。
逆に、レゴラフェニブは副作用やそれによる治療中止の頻度が高く、2ヶ月は毎週採血と診察が推奨されています(RESORCE試験)。

これら全ての薬を使い切ることが理想ですが、ADLや肝機能を代表とする忍容性低下が起こり、使いきれないことも多いようです。分子標的薬は、肝機能低下が起こり易いとされています。この肝機能は重要で、分子標的薬の大規模試験では症例組み入れ条件をChild-Pugh(A)としているため、Child-Pugh(B)となると基本的には適応外となるためです。またChild-Pugh(A)でも、6点の方が5点よりも早くにChild-Pugh(B)になるとされています。そのため、分子標的薬はTACEで粘りすぎずに早めの導入が重要と言われていますし、3rd line以降は忍容性が保たれ易い薬を選択することも重要な着眼点かもしれません。

最後に副作用ですが、薬ごとの個別に覚えるのは大変なので、ざっくり記載します。
これら分子標的薬で起こり易い副作用は、高血圧、タンパク尿、甲状腺機能異常、手足症候群、嗄声、肝障害、食指不振や倦怠感といったところです。
また免疫チェックポイント阻害薬でとくにですが、自己免疫疾患が増えると言われており、膠原病に対する定期検査(関節炎、皮疹、末梢神経障害、抗核抗体、リウマチ因子)、内分泌機能検査(下垂体、甲状腺、副腎、性腺)の定期チェックをしています。当院でも、ルーチンセットを作成中です。

分子標的薬は種類が多く順序に迷いますが、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法またはレンバチニブを1st lineとしてまずは使います。