腹腔動脈狭窄における膵頭十二指腸切除術(PD)

今回は、胆膵内科医として注意を払いたいケースになります。

最初に結論を記載しておきます。
『膵頭部NENの症例で、腹腔動脈狭窄が術前より確認されていました。肝動脈血流は、SMAからの膵頭十二指腸アーケードを介して供血されていました。それに対してPDを行い、肝血流が本幹レベルから急に減少することとなったため、肝梗塞からの急性肝不全を合併した症例です。』

冠状断で腹腔動脈の狭窄は明らかですが、矢状断では大動脈からの分岐部にさらに強い狭窄があることが分かります。

手術の際にも膵頭十二指腸アーケードの温存を試みましたが困難で、膵頭部を切除後にアーケードの血行再建をすることになりました。さらに、手術の際の血管内脱水に起因したものと思われますが、術後に腹腔動脈はさらにピンホール状となり上腹部の血流はかなり減少したものと思われます。
アーケードからの供血が減少し腹腔動脈狭窄も進行したことで、門脈血流が優位な肝臓とはいえ肝動脈本幹レベルの血流が急に減少したため、肝梗塞となってしまいました。

肝梗塞になった際のCT
動脈血流が悪い部分が造影効果不領域として描出されています。

本症例の肝不全は保存的に改善しました。

稀な病態ではありますが膵手術の際には注意を払い、私たち内科医が外科医にコンサルトする際にはプレゼンをしたい病態だと思います。
本症例は術前から認識し術中にも対応を試みた症例ですが、本記事で1人でも本症例のような病態が術前でしっかり把握され、このような問題が減ってほしいと思います。