採石バルーン/バスケットの選択【10mm以下の胆管結石を想定】
このページでは、10mm以下の結石を小結石と定義して話をします。
主にはバスケットとバルーンの話ですね。
操作のコツ、採石時のトラブルシューティング、各国ガイドラインの差も紹介します。
またOzawaらは、11mm以下であれば差はないとしている。バルーンカテーテルでは結石のすり抜けで採石できない数例に対して、バスケットに交換することで全例で除去できたとも述べています。私は、牽引力と捕捉力のために併用してしまうことが多いです。バルーンよりバスケットの方が、出した結石を補足したままになるので確認できるのも好きなポイントです。バスケットだけで終わらせることはほとんどないのですが、「小結石かつ少数かつ胆管結石がバルーンが圧着できる程度の太さ」であればバルーンのみで終わらせることはあります。
ここでバルーンの製品の紹介です。
Olympusの20mmバルーンと、他社の18mmバルーンの違いです。Olympusのバルーンは横に広がりやすく、さらに同じ空気量で計測してみると2mm以上の差が出ます。そのため太めの胆管に対してはOlympusの採石バルーンを好んで使用しています。
続いては、バスケットの紹介です。
まずは定番にしている施設も多いと思います、8線フラワーバスケットですね。非常に柔軟で追従性がよく、操作しやすいです。
ストレスフリーという言葉が似合うバスケットで、通常症例はほぼこれです。
ここでバスケットとバルーンの採石時の操作のコツをお話しします。
こんな感じです。
胆管走行は個人差がありますので、常に胆管の中心をバルーンやバスケットが通過するイメージを持つといいかもしれません。
それをやった上で、乳頭直上のポケットがある症例などは、胆管壁の片側に力加減を寄せるようなやり方が必要なこともあります。
イメージしやすいように連続で流してみます。ちなみにこのイラストは自作です。
で、そのポケット対策のバスケットですが、ボルティックキャッチが私は好きです。
松ぼっくりの傘のように開き、ポケットの中にも入って掃除してくれるように動くので、ポケットがある症例にこれを使うことが多いです。
症例を提示します。ポケットが大きい症例で、そこに入った結石がフラワーバスケットやバルーンでは採石できませんでした。Vortic Catch Vを使用することで採石できました。
ここまでが基本的なことです。次はトラブルシューティングを紹介します。
問題になるのはバスケット嵌頓ですね。乳頭から出せないし、結石がバスケットから外れなくなって次のデバイスに交換もできない状況です。この状況では、3つの対応が考えられます。
①まずは結石が外れないバスケットを肝門部に押し当てて、バスケットをひしゃげさせることで結石を外すことを試みる。②次はエンドトリプターです。バスケットの手元を切断して金属ワイヤーを露出させ、エンドトリプターというハンドルに巻きつけて使います。③最後は胆道鏡です。バスケットを手元部分で完全に切断して体内に残し、フリーになった鉗子孔から胆道鏡を挿入し、レーザーなどで破砕します。
症例を提示します。①②の方法では解決できず、③の胆道鏡を使用しました。
次は、小結石でも困難例についてです。
①合流部結石(総胆管と胆嚢管の分岐部結石)です。この場合の多くは、総胆管結石をバスケットなどで掴もうとしても、胆嚢管側にするっと逃げてしまい掴めないというものです。②もう一つは再建腸管の症例ですね。
まずは①。
続いて②です。R-Y再建後の左肝内胆管結石で、小腸バルーン内視鏡での治療が難しくEUS-HJSで挙上空腸と肝内胆管に瘻孔を作った数ヶ月後の治療です。
最後に胆管炎を合併している症例の採石のタイミングについてです。まあだいたいは合併しているんですが、大学病院では慎重を期して、二期的治療をメインにしているという話も聞きます。日本もヨーロッパもアメリカも、ガイドラインでは軽症/中等症であれば一期的治療でいいと記載があることは知っておいていいと思います。当院では一期的に行います。
総胆管結石に対する日米欧のガイドラインを比較する形で紹介します。
まとめです。
患者さんにどれだけやさしい治療にできるか、術者にとってもスムーズな周術期になるかを考えてスライドを作りました。
採石率、手技時間、コスト、偶発症、長期予後などのEvidenceから、乳頭拡張と採石処置の手技選択をして頂ければと思います。
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